LSVT®プログラム実施に際してのQ&A(BIG・LOUD共通)

LSVT®プログラム実施に際してのQ&A(BIG・LOUD共通)【認定者向け】

Q1:LSVT認定セラピストが一人しかいないため、週4回(4時間)、4週間のプロトコルを認定セラピスト一人ではできない時があります。その場合、認定セラピストの指導を受けた他のセラピストが、LSVTを実施することは可能ですか?
A1:LSVT認定セラピストは、LSVTセラピーを実施することはできても、別のセラピストへ”指導”することはできません。これは、LSVT考案者であるLorraine Ramig氏ならびにLSVT認定の管理運営組織であるLSVT Globalから固く禁止されている事項であり、認定講習会受講者は全員、受講の際にそれを遵守する誓約書を提出しています。
そのため、LSVT認定セラピスト以外のセラピストがLSVT(BIG・LOUD共に)を実施することはできません。
週4日(4時間)、4週間、合計16回のセラピーは認定を取得したセラピストだけで実施することになります。
LSVT認定セラピストが1名の場合、常勤であれば基本的に週5日勤務、月に20日勤務する計算になるかと思いますので、その中から16回の訓練は不可能ではないという理屈になります。


Q2:LSVTは週4回(4時間)、4週間のプロトコル実施が求められていますが、例えば1週間に2回、8週間で行っても良いのでしょうか?
A2:LSVTは「週4日(4時間)を4週間、合計16回」が基本となります。ただし、過去には、週に2回、8週間のプロトコルで構成される an extended version of LSVT (LSVT-X)の研究が行われ、訓練効果に関する論文も発表されています(下記に記載)。
LSVT-Xでも限定された評価項目においては改善が認められていますが、標本数を増やした更なる研究の必要性が指摘されています。また、セラピストによる訓練が週2回に減ってしまう分、患者様の訓練室外の自主トレ指導が極めて重要であることが記述されています。8週間にわたる効果維持課題、“宿題”の実施と継続が不可欠であることはいうまでもありません。
多面的な検討が進められているLSVT研究に比べると、LSVT-Xの有効性に関する検証は残念ながら不十分と言わざるを得ません。そのため、LSVT GlobalもLSVT-Xの効果を否定はしていないものの、プロトコルの実施を積極的には推奨はしていません。実際、認定講習会でもLSVT-Xへの言及はほぼありません。本来のLSVT プロトコルを実施することが最大限の効果を得る手段ということができます。

*参考
Spielman JS, Ramig LO, Mahler L, Halper A, Gavin WJ (2007): Effects of an extended version of the Lee Silverman Voice Treatment on voice and speech in Parkinson’s disease. American Journal of Speech-Language Pathology, 16(2):95-107.
https://doi.org/10.1044/1058-0360(2007/014)

LSVTは患者様に毎日自習が課されますので、4週間の間に16回のセラピーが実施できるのであれば、常識の範囲で多少の変動が認められないわけではありません。患者様の体調も変動しますので、例えば、16回目が第5週に食い込んでしまった、週3回しか実施できなかった週の翌週に5回実施する、といった調整/埋め合わせは現実的には許容範囲といえます。LSVTは「訓練課題の十分な繰り返しと集中性」が極めて重要視されていますので、その原則から外れないことが求められます。
LSVT(LOUD・BIG共)の実施がこれほど厳格に定められているのは、これまでに明らかにされてきた訓練の有効性を絶対に崩さない(それによって、世界中の患者様が同じように利益を享受できる)というLSVT Globalの強い信念があるからです。
指定されたプロトコルに従ったセラピーができない場合はLSVTという名称は使えませんが、基本理念は優れた訓練法ですので、担当セラピストができる内容をできる範囲で実施することで、患者様は少なからず恩恵を受けられるはずです。

【LSVT® Workshop Japan事務局より】
日本における臨床現場の実情から週2回以上の訓練が不可能な場合は、LSVT-Xの有効性検証がじゅうぶんではないことを理解したうえで、セラピストの判断で上記の研究論文に添った形でLSVT-Xを実施することは選択肢の1つかもしれません。
その際は、個々のセラピストがリサーチマインドを持ち、LSVT-Xの効果検証をしていくことが不可欠です。

Q3:患者様から週に5回のLSVTセラピーを希望されました。原則の週4回より増やしたり、週によって4~5回など幅をもたせて行っても良いですか?
A3:LSVTの基本的なプロトコルは「週4日(4時間)を4週間、合計16回」が基本となりますが、ニーズがあれば5日目を追加することも可能です。

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