2月9日、新潟県就職氷河期世代自立支援ネットワーク化推進事業の一環として、下越地域若者サポートステーション(以下、「サポステ」と略します)様主催の「就職氷河期世代の発達課題 個としての成長を考える~自己肯定感と仕事との関係性~」という研修会が本学を会場に開催されました。
コロナ禍にあり、会への参加形式は、近隣地域からの会場参加者とオンライン参加者の二本立てで行われました。私は、その中で、開会のご挨拶を差し上げました。そして、サポステ村上常設サテライト様より利用状況その他の情報提供があったのち、グループワークを行い、最後に、本学リハビリテーション心理学専攻の西村信子講師による講義「生涯発達心理学的視点から見た当事者の自己肯定感と社会的自立」で締めくくられました。
本研修会の目的は、いわゆる「就職氷河期世代」の方々が抱える課題を解決するための方策を参加者の皆さんと一緒に考えること、及び課題解決のための情報共有、さらには、関係機関の連携を強化することでありました(注:就職氷河期世代とは、バブル崩壊後の就職が困難であった時期(1993年頃から2005年頃が該当するとされる)に卒業・就職を迎えられた方々で、現在おおむね30代後半から40代の方々を指します)。
就職氷河期世代の方々の中には、不安定な就労を余儀なくされていたり、無業の状態にあったりと、様々な課題に直面している方々が大勢いらっしゃると伺っております。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大による雇用環境の悪化で、職に就いたものの解雇される方もでてきており、自信を失っていた人たちに、新型コロナウイルスの蔓延が追い打ちをかけているともいわれています。
ちょうどおとといの朝、「氷河期世代」というワードが、ネット検索のトレンド上位にも挙がっていましたので、まさにタイムリーな話題でありました。すなわち、就職氷河期世代の方々への支援は喫緊の課題であり、社会全体で支援に取り組む気運を醸成することが重要となっているのです。
新潟県でも効果的な支援の在り方や各種施策の進捗管理等を統括することを目的として、「にいがた就職氷河期世代就職支援プラットフォーム」が昨年4月に設置されています。
本研修会を開催するに至った「新潟県就職氷河期世代自立支援ネットワーク推進事業」も、就職氷河期世代の方々の活躍の機会が広がるよう、ネットワークを形成し、各界が一体となって効果的かつ継続的な取組を推進していくための取り組みとのことです。
就職氷河期世代の方々が抱えている課題は、非常に多様であることから、個人の状況に応じた支援メニューをきめ細やかに届けていかなければならないため、サポステ様におかれましては、これまでのノウハウを活かしつつ、支援対象者の年齢を拡充されているとのことです。さらに、相談体制を手厚くするために、心理系専門職である、公認心理師・臨床心理士の対応も拡充していかれることと推察いたします。
本学では、数多く存在する心理系資格の中でも、近年ようやく初めての国家資格となった「公認心理師」を、学部と大学院を通じて養成しています。公認心理師・臨床心理士の資格を持った教員も複数在籍しております。地域での支援のネットワーク形成にあたって、本学の知も活用させていただくことができ、うれしく思います。
ところで、写真のお花は、高大連携校の生徒さん(高校の授業の一環で温室で育てているというお花です)から、数日前に購入したものです。今の時期、外はモノトーンの冬景色、そして書類が積まれて雑然とした学長室にも、華やかさを添えてくれています。室内でも次々と花が咲き、随分と長持ちしています。皆さんの元にも、春が届きますように。