今週の月・火曜は、夏休み中の静かな学内で少し遠ざかっていた研究を進めました。その研究とは以前にもこのブログで少し紹介しましたが、ソフトスチーム加工という食品加工技術を用いて、主に高齢者や咬む力が衰えた方たちのために食べやすくおいしい食材を開発するというものです。今は鶏ムネ肉をターゲット食材として研究を進めています。写真は、食材の物性(硬さ、まとまりやすさ、くっつきやすさなど)を測定するためのクリープメーターという測定機器です。昨年度からソフトスチーム加工の条件(加熱温度、加熱時間)をいろいろ変化させて、鶏ムネ肉の物性がどう変わるか調査を進めてきて、軟らかくて食べやすい加工の条件をほぼ決定することができました。
ソフトスチーム加工は簡単に言うと、湿り飽和空気のもと低温で蒸す調理方法です。低温とはいっても鶏肉ですから、食中毒の危険域を超える温度帯および調理時間での加工を実施し、安全面でも十分な配慮を行っています。スーパーマーケットでは、サラダ用に軟らかく加工調理(真空調理製法など)された鶏肉が、パック詰めで市販されていますが、原材料名の表示を見ると…(興味のある方は、ご自身でご確認下さい)。研究中の物は鶏肉100%で添加物なしです。味付けしないでそのまま食べても、十分おいしくいけると思います。
一般に、鶏ムネ肉はパサパサしていて食べにくいというイメージが強いのではないでしょうか。しかし、イミダゾールジペプチドが豊富で筋疲労抑制、抗酸化作用があるほか、低脂肪高タンパクで消化吸収が良く、また動物実験では認知症予防効果も示されているなど、今話題の食材です。値段も比較的手ごろですよね。
さて、この試作途中のソフトスチーム加工鶏ムネ肉を、8月22日のオープンキャンパスのランチタイムにおいて、参加者の皆様にひとかけずつ試食をしていただく予定にしています。試食された方は感想もお聞かせいただけると、更なる改良につなげていけると思います。