暑い日が続いています。衣替えの時期となり、通学する高校生も軽快なスタイルになりました。
さて、某民間の教育総合研究所による「第2回大学生の学習・生活実態調査報告書(2013年)」及び「高大接続に関する調査報告書(2014年)」に興味深い調査結果が掲載されています。その結果は、大学生に「大学で学ぶ目的をどう持たせるか、主体的な学びをどう促すか」について、各大学で大いなる工夫を凝らす必要があることを示唆しています。
大学入試に臨む高校生にまで調査を辿ってみますと、大学全入化が進んでいる現代においては、たとえ大規模に大学入試改革を行ったとしても、高校生の学習意欲向上につながるような状況にはならないとの予測が大半を占めています。4年制大学に進学予定の高校3年生の回答を見ると、「大学で学ぶ目的がはっきりしていない」が「半分以上」という割合が22.8%、大学に入学してきた新入生に同様の調査を行うと、28.0%と、更にこれらの割合は上昇し、3~4人に1人の新入生は、目的を見失っているということになります。このため、大学では初年次教育等の中で大学生の学びへの意識を明確化させる努力を行う必要に迫られています。本学のように国家資格取得を目的として入学してくる学生は、比較的強い目的や意欲を持っている場合も多いですが、本人の目的意識がないまま親の意向に沿って入学してくる学生もいます。そこで、本学では、1年次に「基礎演習」科目や「臨床見学実習」を配置し、その中での教育等を活用して意識をより高くもたせる工夫を行っています。
一方で、大学入学後の学部学科専攻間の移動(本学(大学院を除く)は1学部1学科3専攻なので、専攻間の移動=転専攻になります。)の自由度を高めることも、今後重要な課題となってくるとされています。期待して入学したものの、入学後に専攻した学問分野が自分の希望と一致していなかったことに気づいたり、大学での学びや社会経験を積む中で、別の学問への新たな興味が湧いてきたりする場合もあるでしょう。上記の「高大接続に関する調査」を見ても、「学内での学生の転部をしやすくする」「他大学への編入・転学をしやすくする」等の施策に対し、高校からは6~7割程度の賛意が得られています。大学入学後の転専攻等、学生の移動の自由をある程度許容することは、学生の大学・専攻への不適応を解消する1つのきっかけにもなると考えられています。そしてそれと同時に学びへの目的意識も明確にしていくことができれば、主体的な学びへと繋がっていくことでしょう。
本学は本日6月1日付けで、医療学部の「転専攻に関する規程」の改定を行いました(5月の大学運営委員会、教授会での審議を経て学長が改定を決定し5月の理事会で報告済みの事項です)。今回の改定で、より柔軟に転専攻が行える制度に移行しましたが、今年度中にあと、もうワンステップ、議論を深めた上でさらに有効活用できる制度に充実させていく予定です。もっとも、理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則及び言語聴覚士学校養成所指定規則や本学の卒業要件等との兼ね合いもありますので、「無条件で希望する者すべてに転専攻を認める」というところまで拡大することはできません。