平成27年4月3日、村上市民ふれあいセンターにおいて、新潟リハビリテーション大学入学式を挙行いたしました。
また、本年度より、本法人(学校法人 北都健勝学園)の新潟看護医療専門学校が、本学近隣に、新しく村上校を開校することとなり、4月3日は会場を同じくして、新潟看護医療専門学校村上校の開学式および入学式も行われました。入学された新入生の皆様、保護者の皆様、たいへんおめでとうございます。以下に、「平成27年度新潟リハビリテーション大学入学式 学長式辞」の全文を掲載いたします。
<式辞>
水田で羽を休めていた白鳥たちも、北へ旅立ちをはじめています。
ここ村上の地にも待ちに待った春がやって来ました。この春のよき日に入学式を挙行できることを大変嬉しく思います。
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
私たち教職員一同は、心より歓迎し、お祝いを申し上げます。
また、これまで新入生の皆さんを温かく見守り、支援をして来られたご家族・保護者の方々に、心からお祝いを申し上げますとともに、本日、ご参列をいただきました多くのご来賓の皆様方に感謝申し上げます。
さて、新入生の皆さんは、この瞬間から、新しい未来への入り口に立ち、今までとは違う世界に足を踏み入れることになります。そして、私も、この4月から学長としての第一歩を踏み出しました。これから皆さんが進む世界は、主体的な努力や試行錯誤をしながら開拓していくことで、いかようにも広げていくことができます。新しい世界で経験するさまざまなことが、皆さんの成長の糧となってくれます。
皆さんが経験する学生時代は、人生で最も希望にあふれ、たくさんの可能性が芽生える、かけがえのない時です。是非、広い世界に目を向け、主体的に学ぶ姿勢によって、さまざまなことを身につけてください。私たち教職員は、皆さんの力強い前進と発展を期待するとともに、全力を尽くして皆さんを支援していきます。また、勉学だけでなく、サークル活動やボランティアなどにも積極的に参加して、多くの友人を得てください。
学生時代に形成した友情は、一生涯の財産となって、皆さんの人生をさらに豊かなものにしてくれます。同時に、尊敬できる先輩や先生方も見つけてほしいと願っています。本学は「人の心の杖であれ」を理念に掲げ、教育や研究を通じて地域社会や国際社会に貢献できる医療人の育成を目指しています。
今日は、皆さんに、ひとつの詩を紹介しましょう。
「こころ」は だれにも見えないけれど
「こころづかい」は 見える
「思い」は 見えないけれど
「思いやり」は だれにでも見える
東日本大震災のあと、ACジャパンという団体がつくった映像が繰り返し流されました。その中で紹介された詩のひとつなので、覚えている方も多いかもしれません。この詩といっしょに流れた映像では、電車の中で座席に座っていた男子学生が、おなかの大きい女性に席を譲ろうかどうか迷う場面があり、結局、譲れませんでした。
次の場面では、長い石段をつらそうに登っていくおばあさんを見た、さきほどの男子学生が、一度通り過ぎた後に戻ってきて、そのおばあさんに手を貸す姿がありました。
そして、私自身、昨日の朝、通勤の越後線の車内で、とてもうれしい体験をしました。満員の車内で、ある男子学生が、思いがけず私に席を譲ってくれたのです。私自身は、まだ、おばあさんという年代ではないと思っているのですが、きっと、大きな手提げかばんとリュックを背負って、重たそうな荷物を抱えて立っている姿を見て、譲ってくれたのだと思います。彼のやさしいこころづかいに感謝しました。
さきほど紹介した詩の原作者である宮澤章二さんは、こころづかいや思いやりが見える理由を「人に対する積極的な行為だから」と述べています。そして、この詩の原文は、最後に次のように結ばれています。
あたたかい心が あたたかい行為になり
やさしい思いが やさしい行為になるとき
<心>も<思い>も 初めて美しく生きる
—–それは 人が人として生きることだ
*宮澤章二著「行為の意味―青春前期のきみたちに」
ごま書房新社 2010年より
私たちは、たとえあたたかい心や、やさしい気持ちを持っていたとしても、なかなか行動に移すことは難しいのではないでしょうか。しかし、それを行動に移さなければ、そのような気持ちをもっていることは、誰も気づきません。その美しい気持ちを、思いやりのある行動やこころづかいにしてこそ、初めて意味があり、人としての大切な生き方につながっていくのです。
皆さんひとりひとりが、思いやりやこころづかいを積極的に行動として表し、その姿を是非、私たちに見せて下さい。そして、本当の意味で人の心を支えられる「人の心の杖」となって下さい。
最後になりましたが、新潟リハビリテーション大学で学ぶこと、豊かな自然と伝統文化のある村上で学ぶことを誇りとし、教養豊かな医療人として成長されることを祈念し式辞といたします。
平成27年4月3日
新潟リハビリテーション大学 学長 山村千絵