令和5年4月7日、本学の国際教育研究棟(新校舎)において、令和5年度入学式(学部・大学院合同)を執り行いました(式典会場写真)。数日前の天気予報では大雨予想も出ていましたが、小雨ですみ、風もなく、大学構内の桜もちょうど満開になっていました(写真)。悪天候予想から会場内にも模擬桜のフォトスポット(写真)を設けておりましたので、それを背景に写真を撮る新入生もいました。そして、このたびは、式典開始時の新入生入場の際には、新入生の皆さんにマスクを外していただいたため、晴れやかな顔も見ることができました。
学部新入生の皆さんは、すでに3日間のオリエンテーションを済ませ、先輩主催の学生会交流イベント(写真)も終わっていることもあり、新しい友達もでき始めているようでした。また、きびきびと規律正しく、自主的な行動も多く見受けられました。今後のさらなる成長が楽しみです。
入学式後は、学部は専攻に分かれての保護者会を開催し、大学院新入生の皆さんはオリエンテーションとなります。
以下に、入学式の学長式辞を掲載いたします。
新潟リハビリテーション大学医療学部並びに大学院リハビリテーション研究科に入学された皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。本日、こうして新入生のご家族の皆様にもご列席いただいて、お祝いの喜びを直接お伝えできる入学式は4年振りとなり、大変嬉しく思います。
世界中が、感染症の惨禍に見舞われ、我が国でも多くの社会活動が制約されてきた中で、皆さんも高校生活や大学生活の大半を、新型コロナウイルスに振り回され、不安を抱えながら過ごされてきたことと思います。
そのような中で、皆さんは大学や大学院進学に向けて一生懸命に取り組まれ、本日、入学式を迎えることができました。その努力に対して敬意を表すると共に、暖かい愛情を持って皆さんを励まし、支えてこられた、ご家族の方々をはじめ、関係するすべての皆様に心よりお祝い申し上げます。
これから始まる新しい学生生活に対しては、期待や希望とともに不安もあると思いますが、皆さんがこれまでに培ってきた力に加え、これから本学で様々な力を身につけていただき、有意義な学生生活を送っていただきたいと思います。そのために、私たち教職員一同でお力添えいたします。
本学は大学院大学として大学院教育を開始してから今年度で17年目、大学院に学部を増設する形で大学学部としての教育を開始してから14年目を迎え、さらに歴史を遡れば、前身の専門学校時代から数えると開学29年目となります。新潟県内でもリハビリテーション教育に関しては、屈指の歴史と伝統があり、着実に「医療人」育成の実績を積み重ねてきています。
数々の歴史を刻んできた校舎に加え、昨年3月に、今、皆さんがいる国際教育研究棟を竣工いたしました。今日の入学式は新しい校舎で挙行しています。皆さんには、また、新たな歴史を築き上げていただきたいと思います。
この校舎の1階のスペースは、アクティブラーニングエリアとアクティブプラクティスエリアになります。多様な学修スタイルに応じて、時代に即した学修や研究ができる学修空間となるべく供用しています。自主学習や実技練習の場としても、大いに活用してください。
アクティブラーニングとは、仲間と話し合い、教員の意見を参考にしながら、その名の通り、自分達で能動的に学修して課題を解決していく学びです。高校時代のような受け身な学びではなく、自らが積極的に課題を抽出し、データや情報を集め、他者の意見も取り入れながら、解決策を見出していきます。自分が学びたいと思うことを、自ら学んでいくことこそが、大学での学びの姿勢となります。こういった学びを通じて、教養や人間性を高めていってください。
本学では、今述べたアクティブラーニングのほか、数理データサイエンスの分野も重視して教育を行っています。アクティブラーニングなどによって、データを収集したのち、それらを数理的手法によって解析し、解決策を見い出していく一連の過程をデータサイエンスと言います。本学では、1年生全員に数理データサイエンス科目を提供しています。
昨年度には、文部科学省から、数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)の認定も受けました。これからの時代、どの分野に進んだとしても、データサイエンスを活用できる人材が強く求められていきますので、皆さんも、きっと、将来、本学で学んだことが活かされると思います。
大学は、一人ひとりのさまざまな可能性が多様につながり、育っていく場でもあります。コロナ禍を経て、ICTの技術も急激に進歩しました。ウェブ授業の展開によって、キャンパスに来なくとも学べる体制が確立されました。本学においても、悪天候などで通学に困難をきたすような時をはじめ、ウェブ授業が効果的な場面で、今後も大いに活用していきます。
一方で、リアルなキャンパスの価値もあらためて実感することとなりました。キャンパスは、出会いと対話が生まれる場です。多様な能力と可能性が繋がれ、伸びていく場となるよう、皆さんとともに考え、工夫していきたいと思います。リアルな場面においては、自らの行動が他者や社会にどのような影響を与えるかを常に考え、思いやりを忘れずに行動することが何より重要です。皆さんの本学における学びが、他者の心の杖となって寄り添う精神を備え、多様な分野で社会を導くリーダーの資質を育むものとなることを期待しています。
さて、本学の位置する村上市は、豊かな自然と、長い歴史とともに受け継がれてきた 伝統と文化を兼ね備えた、情趣ある資源に満ち溢れています。
本学は村上市をはじめ、近隣の関川村や粟島浦村と、また産業界とは地元の岩船商工業会様と包括連携協定を締結しています。協定に基づいて、本学がこれまで積み上げてきた保健、医療をはじめとする様々な分野における活動実績を相互協力へと発展させ、地域に必要とされる大学であり続けるよう、さらなる努力を重ねています。
学生教育においても、地域の自然環境や地場産業、温かい人々とのふれあいなどを活用させていただきながら、地域の課題解決に取り組み、地域の活性化に向けた活動を進めています。
ところで、皆さんがこれから向かっていく社会は、少子高齢化や人口減少がいっそう進み、一方で、人工知能、ロボット、再生医療など新たな科学技術が進展し、私たちの生活環境や就業形態が、大きく変化していくことが予想されています。
そのような中、皆さんが選んだ道は、人の心を読み取り共感し、優しく温かい心を通わすことが求められます。そして、ロボットや人工知能にはない、しなやかな心を持つ人でないと目的を達成することができない大切な分野です。
本学では、知識や技術だけではない、細やかな心遣いで、患者さまやご家族をはじめ周囲の方々をしっかりと支えていけるような、人材を育成しています。
本学が重視している教育の基本は、専門を深く極めることはもちろんですが、「人の心の杖であれ」の精神のもと、広い視野と優しい心遣いをもって、ものごとを総合的に判断し、背景にあるさまざまな課題までも見いだして解決していき、それぞれの分野で大きく貢献することのできる人材を育成することです。このために、本学の教職員は一体となって、学生一人一人に丁寧な教育を行い、ともに新しい時代を切り拓いていくべく、日々努力を重ねています。
皆さんにおかれましては、是非、同じ専攻や同じ学年に限らず、広く同級生や先輩たちと繋がって、自分の視野や可能性を広げる努力をしてください。かけがえのない仲間は、大学での学びを支える大きな役目を果たしてくれるはずです。自分の夢や目標がわからなくなったとき、迷ったとき、仲間たちはきっと、素晴らしいアドバイスをくれ、導いてくれることでしょう。
また、学内には、皆さんの学修や生活の支援、心身の相談といった、さまざまな機能をもつ学習センターやキャリア支援センターのほか、保健室、クリニックなどを整備しています。もちろん、教職員一人一人がいつでも真摯に相談・対応いたします。どうぞ、学内の施設や人的資源を有効に活用してください。
最後になりましたが、村上の自然豊かな環境の中で、皆さんが、さまざまなことに目を向け、実り多い大学生活を送られることを心から祈り、私からのお祝いと歓迎の言葉とさせていただきます。
ご入学誠におめでとうございます。
令和5年4月7日 新潟リハビリテーション大学長 山村千絵