新潟リハビリテーション大学
 
令和3年度卒業証書・学位記授与式

令和3年度卒業証書・学位記授与式

3月10日(木)、本学の新校舎1階において、令和3年度卒業証書・学位記授与式を挙行いたしました。卒業生・修了生の皆さん、たいへんおめでとうございました。以下に、学長告辞を掲載いたします。

 

あたたかく降り注ぐ陽の光が、例年になく高く積もった雪を一気に溶かし、ここ村上の地も、春の息吹が感じられるようになりました。ハクチョウたちは北帰行を控え、田んぼで盛んに餌をついばみ、栄養を蓄えています。

旅立ちにふさわしい季節がやってきました。

令和3年度の医療学部卒業生の皆さん、大学院リハビリテーション研究科修了生の皆さん、卒業、修了おめでとうございます。

そして、ご家族や関係者の方々にも、心よりお祝いを申し上げるとともに、これまで、本学に賜りましたご支援とご協力に、改めて感謝いたします。

本日の式典は、完成したばかりの新しい校舎で挙行しています。この校舎を活用するのは、皆さんの卒業式が最初です。まだ、備品類を搬入していなく、がらんどうの空間となっていますが、4月からは、この1階のスペースは、アクティブラーニングエリアとアクティブプラクティスエリアになります。

皆さんたちは、自主学習や実技練習をする場所の確保に苦労もあったと思います。この場所は、そういった皆さんたちの声をもとに、実現した空間になります。卒業後も、折に触れて本学に足を運んでいただき、後輩たちと交流したり指導に当たったりしていただけましたら幸いです。

2階は、オープンラボスペースとして、異なる分野の研究者、学生、地域の方々など、さまざまな人々が交流する場所としていきます。交流を通じて研究や教育の場を活性化し、新たな発想を生み出すことを期待しています。

 

さて、今、皆さんの胸中には、在学中の様々な思い出が駆け巡っていることでしょう。楽しかったことだけでなく、苦しかったこともたくさんあったかもしれません。

特に、コロナ禍での臨床実習や学位論文の作成には大きな苦労があったことと思います。これまで、感染拡大防止体制へご協力いただき、幾多の困難な状況にも耐え抜いていただいた皆さんの努力に厚く御礼を申し上げます。そして、困難を乗り越え、今日の日を迎えられましたことに対し、心よりお祝い申し上げます。

それぞれの分野で学んだことを今後の人生に活かし、本学の卒業生・修了生としての自覚と自信を持って今後の人生を歩んでいってください。本学も、在学生の皆さんの学びを止めることのないよう、工夫を重ねながら、教育研究活動を継続していきます。

大学全体で教育や研究に対する困難を乗り越えようとするこの経験は、今後の大学運営が大きく生まれ変わっていくチャンスと捉えることもできます。大学ではウェブ授業が普通に行われるようになり、学会や学外との会議もウェブ会議方式が主流となりました。教職員は、在宅勤務やリモートワークも柔軟に取り入れる体制となり、意図せずしてSociety5.0(超スマート社会)が目指す、AIやIoTの社会実装が加速されたように思えます。

国連は、2015年に、SDGs、すなわち持続可能な開発目標を掲げましたが、Society5.0はSDGsが掲げるゴールに通じるものでもあります。こういった流れを捉え、政府もデジタルトランスフォーメーションを一気に推し進めようとしています。今回のコロナ禍は多くの方々にさまざまな課題を突き付けていると同時に、これまでにない学びや経験も、もたらしてくれました。

これから、新たな道に進んでいかれる皆さんには、急激な社会の変革に呑み込まれることなく、広い視野で多角的に状況を分析し、専門的な見地から、課題を解決する能力を培っていってください。

本学でも、SDGsの取り組みを推進し、また、来るべき社会で必須となるデータサイエンスリテラシーを全ての学生に提供していきます。

新しい社会、新しい生活様式が進む一方で、私たちは、授業の受講だけでなく、大学という場所において、仲間と語り合い、交流するといった営み自体が皆さんの成長過程にも大きく影響している重要性に改めて気づかされました。いずれにせよ、この時代を経験した皆さんは、新しい価値観や考え方が身についていくでしょう。それは必ず将来に生きていきます。

皆さんがこれから向かっていく社会は、少子高齢化や人口減少が、さらにいっそう進み、私たちの生活環境や就業形態も、大きく変化していきます。AIやロボットが多くの仕事を代替するようになるでしょう。しかし、そのような社会こそ、人と人とが真摯に向き合うことが大切になると思います。本学で学んだ皆さんは、人と接する際に、相手の心を読み取って共感し、優しく温かい心を通わすことができるはずです。

本学園では、創設以来「人の心の杖であれ」を理念に掲げ、知識や技術だけではない、細やかな心遣いで患者さまやご家族をはじめ周囲の方々をしっかりと支えていけるような人材を育成してきました。これまで皆さんが培ってきた知識、技術、そして優しさや思いやりをさらに成長させ、どんな場面でも決して諦めないで挑戦を続けていってください。

社会はあらゆる面から、新しく生まれ変わろうとしています。新しい社会では、誰ひとりとして取り残されることのないよう、共生社会の構築が期待されます。皆さんには、その牽引役を果たしていただきたいと思います。すなわち、困難な状況下にあっても、偏見や差別をせず、常に他者に対してあたたかい手を差し伸べられる人になってください。

本学の理念である「人の心の杖であれ」は、SDGsの根本にある、他人を思いやる心にも通じます。皆さんには、人と人とが、支え合って生きていくことの大切さを、このような時代だからこそ、なおさら胸に刻んでこれからの人生を歩んでいって欲しいと思います。そして、いつまでも不断に学び続け、未来を切り拓いていき、大きく飛躍して多方面で活躍されることを心より祈念し、私の告辞といたします。

本日はまことにおめでとうございます。

令和4年3月10日        新潟リハビリテーション大学長 山村 千絵