本学は、地域連携に関する取り組みは多数の実績があるものの、産学連携に関する活動は、分野の性質上、あまり活発に行われていませんでした。そこで、今後、本学の教育・研究分野の特徴を活かした産学連携事業をいかに展開していくかということが、大きな課題となっていました。それには、健康づくりに関する地場産業や一般企業との連携をどのように構築していくかという課題が含まれています。
これらの点を踏まえて、今年度4月に「こころとからだの健康づくり研究センター」(以下研究センター)を設置し、専任のセンター長を迎えました。すでに学内に設置されている地域連携推進室と調査・研究機能を持った研究センターとの共同により、地域・産学連携における実践と調査・研究の組織が整備されたといえます。
このたび、研究センターが推進していく事業と絡め、「令和元年度新潟県産学連携による人材育成・定着促進支援事業」に申請書を提出させていただきました。申請テーマは「地場産業、地域を巻き込んだ健康づくり事業を通して「学ぶ」「参加交流する」「定着する機会」の観点からの人材育成」であります。
本事業の目的、すなわち研究センターが推進していく主な活動とは、①「産業界との連携体制の強化(構築)」:企業における生活習慣病や運動機能低下の予防についてのコンサルティングを行うこと、②「産学連携による地域産業人材育成プログラムの実施」:地場産業、一般企業に運動器慢性疼痛予防のプログラムや地域包括ケアシステムにおける介護予防事業などを行うこと、③「社会人のリカレント教育スキルアップ教育の実施」:健康づくりに関する公開講座、履修証明プログラムの検討を行うことによって、人材育成がなされること、であります。そして、最終的に、地域を活性化して魅力ある地域づくりを行い、県内に定着する人材の育成および学生の県内就職率の向上を目指します。
これらの事業を実施していくことにより、最終的には次のような効果が予測されます。
〇地場産業、一般企業における腰痛等の運動器慢性疼痛予防や口腔機能向上などへの関心が高まり、健康づくりにおける「無関心層」の減少が認められます。〇地場産業等における産学連携が構築されて、労働者の運動器慢性疼痛予防プログラムに寄与するシステムが稼働しています。〇地域の健康づくりや介護予防事業に貢献できる人材育成ができています。〇地域活動、地域の保育園、小学校、中学校の活動に積極的に参加交流して、学生の能力を地域活動活性化に生かすネットワークが構築されています。〇公開講座受講者200人(5年間)の実績をあげて、履修証明プログラム開講への取り組みがなされ、社会人のリカレント教育が促進されています。〇学生は、以上のような活動に積極的に関わり、地域の人材育成、県内に定着する機会の促進につながっています。
少子超高齢化が進んでいる本地域においては、学生たちの若い力は貴重であり、地域づくりに参加する学生が先輩から後輩に受け継がれるような流れを確立する必要があります。
本事業申請のプレゼンテーション審査会が、24日(木)に新潟県自治会館であります。研究センター長が発表されますが、私も質疑応答に備え同席する予定にしています。申請が通る、通らないに関わらず、上記の活動は、研究センターの事業として推進していきます。