理学療法学専攻の北村拓也講師が優秀論文賞を受賞しました。
昨年の学会で発表された内容が「Journal of spine research」に掲載され、見事優秀論文賞に選ばれました。
腰痛治療の最前線で運動療法の重要性をまとめた内容となっています。
北村先生からのコメントをご覧ください。
Journal of spine research 優秀論文賞受賞報告
2020年12月2日
この度,Journal of spine research に掲載された論文が「優秀論文賞」として選出していただきました.2019年に開催された第27回日本腰痛学会で発表させていただいた内容を論文化したもので,腰痛を持った高齢の方々に対する運動療法の有効性をまとめた内容となります.
年齢が高齢になるにつれて脊柱(せぼね)が変形してしまい,前屈み姿勢が強くなったり,捻れるように変形してしまいます.それによって腰痛が強くなり生活の質(Quality of life;QOL)が低下することによって,大きく健康感を低下させてしまいます.腰痛を自覚してから3ヵ月以上経過した場合を慢性腰痛と表現しますが,慢性腰痛に対する治療の第一選択は運動療法となっています.私たち理学療法士が最も得意とすることが腰痛治療には非常に重要ということです.しかし,これまでの研究では変形が小さい方や若い方を対象に運動療法の有効性が示されていましたが,変形が進行してしまった高齢の方々に対する検証はほとんどありませんでした.そこに着目した研究が本研究となります.
今回の研究によって,3ヵ月間の運動療法が約半数の患者さんの腰痛強度を大きく低下させ,QOLの向上に資することが明らかになりました.ただ,運動は闇雲に行うのではなく,我々,プロが対象の方にオーダーメイドでプログラムした内容をしっかりと理解してもらえるように提供することが大切です.一人一人,考え方も生じている問題も様々です.さらに,常に受け身姿勢で運動をするのではなく,“自分の身体を知って,自分で良くしていく”という意識がとても大切です.これらの運動療法提供方法を工夫した点が症状改善に寄与したものと考えています.
今後も腰痛で苦しむ方々にとって光となるような報告をしていきたいと思っています.ご覧いただいた皆様,ぜひ,一緒にプロジェクトを発展させていきましょう.最後に,本研究に携わっていただきましたすべての方々に深い感謝を申し上げます.
論文タイトル:「慢性腰痛を有する高齢脊柱変形患者に対する運動療法効果」
北村拓也,神田賢,佐藤成登志,渡辺慶.
新潟リハビリテーション大学
医療学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻
講師 北村拓也