おとといの26日(木)は、村上ロータリークラブの例会で「超高齢社会を元気に生きる~おいしく食べる・飲み込むことの重要性~」と題したお話をさせていただく機会がありました。25日(水)の「食べる力をつける教室」でも、主要部分(概要)について、実技をまじえながら説明させていただきました。いずれの会でも、大きくうなずきながら聞いていらっしゃる方が多く、地域の皆さまの関心の高さが伺われました。また「食べる力をつける教室」は新聞報道もあったせいか、夏からはじまる第2期の教室についての問い合わせもすでにいただいています。
現在、日本人の死因のうち肺炎が第3位(2011年に4位から3位になった)になっています。そして、高齢者では肺炎のなかでも誤嚥性肺炎が大多数を占めています。たとえば、その割合(肺炎のうち誤嚥性肺炎が占める割合)は、70歳以上で70%以上、90歳以上になると実に95%という報告もあります。誤嚥性肺炎という名称からして食物の誤嚥(食物が食道ではなく誤って気管に入ってしまう)が原因と思われがちですが、直接の原因は口腔内の常在菌(ふつうにいつもいる細菌)です。誤嚥した食物あるいは、誤嚥した唾液、逆流してきた胃液等に巻き込まれて大量の細菌が気管から肺に入っていき、抵抗力が弱い高齢者等が発症するという構図があります。ですので、誤嚥性肺炎予防のひとつの有効な手段として口の中をきれいにする=口腔ケアが挙げられるのです。
最近、肺炎球菌ワクチンの接種が盛んに推奨されていますが、これを接種すれば、万能に肺炎を防げるということではないということです。誤嚥性肺炎のうち肺炎球菌が原因となって起こるのは10~20%程度、残りは他の菌とも言われています。肺炎球菌は、主にかぜをひいた後などに、のどや鼻にすみついて悪さをする菌なのです。ですからやはり、高齢者の死因の多くを占めている「誤嚥性肺炎」を予防するためには「口腔ケアが重要」ということになるのです。