10月18日、曽我ひとみさんをお迎えして、学部1年生を対象に、「拉致問題啓発セミナー」を開催いたしました。曽我さんには、2年前の2020年10月にも本学にお越しいただいていますので、今回で2回目ということになります。最近は特に精力的に活動されていて大変お忙しいにもかかわらず、佐渡から本学まで足を運んでいただき、本当にうれしく思いました。
そして、今回のセミナー開催にあたりましては、新潟県拉致問題調整室の方々の多大なるご協力を得ており、セミナー時にも、室長の古田様はじめ担当者の方々3名にお越しいただきました。また、曽我さんには、佐渡市役所の小田相談員が随行していらっしゃいました。本学を代表して、曽我さんはじめ関係者の皆様方には、重ねてお礼申し上げます。
曽我ひとみさんは、今から44年前の1978年8月に、ちょうど1年生の皆さんと同じ年齢の頃に、お母様のミヨシさんといっしょに、佐渡で拉致されて、その後、24年間を北朝鮮で過ごされました。そして、20年前の2002年の日朝首脳会談で、北朝鮮が初めて拉致を認めて、大勢いる被害者のうち、5人だけの帰国が許されました。そのうちの1人が曽我ひとみさんでした。
20年前、私にとっては、その出来事が、とてもショッキングでした。何がショッキングだったかというと、拉致被害者がこんなにも大勢いたのかということ、そして帰国できたのは、そのうちの一部の方々でしかなかったということ、そしてそのことを、その時に初めて知ったことでした。それまで、曽我さんが拉致されていたことなどは、私だけでなく誰もが知る由もありませんでした。
2002年10月15日、曽我さんたちが政府のチャーター機のタラップを降りてくる場面のニュースの映像を、当時、私は何度も何度も繰り返し見ました。まだその時の様子がはっきりと目に焼き付いています。しかし、残念なことに、それ以後は、1人の被害者も帰国できずに、膠着状態となっています。未だに曽我さんのお母様の帰国も実現できていません。被害者や帰国を待つご家族の高齢化が進む中、一日も早い全面解決を強く望みます。
本学では、数年前から毎年、拉致問題を考える新潟県の巡回パネル展の会場を提供してきました。今年もセミナー当日から11月1日まで、学内に写真や資料を展示しています。私自身も学長室のドアの前に、横田めぐみさんの赤と白の市松模様のかわいらしい着物姿の写真を使った「必ず取り戻す!」というポスターを、数年前からずーっと貼り続けています。
若い方たちにとっては、拉致問題について実感がわかないこともあるかと思いますが、拉致問題の解決には、一人ひとりの声が、何よりも強い力となるとともに、被害者ご本人とご家族の大きな心の支えになります。
曽我ひとみさんの講話・体験談を聴いた学生の皆さんの心に響いて、何らかの行動を起こすきっかけや意識の高揚に繋がりましたら幸いです。
最後になりましたが、曽我ミヨシさんをはじめ、被害者の方々全員が元気な姿で、一日も早く帰国できる日が来ることを切に願っています。