新潟リハビリテーション大学
 
令和4年度入学式

令和4年度入学式

令和4年4月7日、本学の国際教育研究棟(新校舎)において、令和4年度入学式を執り行いました。今冬は雪が多く寒さが厳しかったこともあり、桜の開花はまだでしたが、晴天に恵まれ、清々しい気分で式典を終えることができました。新入生の皆さんは、すでに3日間のオリエンテーションを済ませていることもあり、新しい友達もでき始めているようでした。また、きびきびと規律正しく、自主的な行動も多く見受けられました。今後のさらなる成長が楽しみです。以下に、学長式辞を掲載いたします。

 

うららかな春の陽射しが、顔をのぞかせた若草にも降りそそいでいます。新たな門出にふさわしい季節となりました。

新潟リハビリテーション大学医療学部並びに大学院リハビリテーション研究科に入学された皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。

皆さんは大学や大学院進学に向けて一生懸命に取り組まれてきたことと思います。その努力に対して敬意を表すると共に、暖かい愛情を持って皆さんを支えてこられたご家族の方々をはじめ、関係するすべての皆様に心よりお祝い申し上げます。

大学における新たな生活に対しては、期待や希望とともに不安もあると思いますが、皆さんがこれまでに培ってきた力に加え、これから本学で様々な力を身につけていただき、有意義な学生生活を送っていただきたいと思います。そのために、私たち教職員一同でお力添えいたします。

本日の入学式は、完成したばかりの新しい校舎で挙行しています。この1階のスペースは、アクティブラーニングエリアとアクティブプラクティスエリアになります。

大学での学びは、受け身の姿勢で知識を蓄積させるだけでは意味をなしません。自ら主体的・積極的に学ぶ姿勢を示し、知識や技術を用いて、いかに新しい考えを生み出したり発見したりするかが重要です。自分が学びたいと思うことを、自ら学んでいくことこそが、大学での学びの姿勢となります。ここのエリアは、自主学習や実技練習の場として、大いに活用してください。2階は、オープンラボスペースとして、異なる分野の研究者、学生、地域の方々など、さまざまな人々が交流する場所としていきます。交流を通じて研究や教育の場を活性化し、新たな発想を生み出すことを期待しています。

さて、学部に入学した多くの新入生の皆さんには、もうひとつ、「おめでとう」とお祝いの言葉をお伝えしなくてはなりません。それは、この4月より、18歳から成人、すなわち、法律上の大人と定義されたことにより、ここにいる皆さんの多くは、新成人になったばかり、ということです。日本で、成人となる年齢の見直しが行われたのは、約140年ぶり、明治時代以来となります。そうした意味で、皆さんは歴史の流れの中で、大きな転換期に生きているということにもなります。

そして、社会全体も、コロナ禍という大きな困難を乗り越えるために、さまざまな分野において、新たな様態が生まれ、新たな価値が創造されようとしている、まさに大きな転換期といえるでしょう。

世界中で、同じ問題意識が醸成され、多くの課題に対する解決策を模索しながら、新しい社会を構築していこうとしています。デジタル化やグローバル化とともに、新しい変化が加わったとも言えます。広く新しい視野や視点を有する者が、この変化に正しい方向性を与えることが期待されています。

自らの行動が他者や社会にどのような影響を与えるかを常に考え、思いやりを忘れずに行動することが何より重要です。この困難と向かいあう経験は、この先の皆さんの人生にとってかけがえのない財産となり、学びの機会となると確信しています。そして、皆さんの本学における学びが、他者の心の杖となって寄り添う精神を備え、多様な分野で社会を導くリーダーの資質を育むものとなることを期待しています。

さて、本学は、平成7年度からの専門学校におけるリハビリテーション教育を礎に、平成19年度に、大学院だけを持つ、新潟リハビリテーション大学院大学として開学いたしました。そののち、平成22年度に医療学部を増設して現在の大学の姿になりました。本学園における、リハビリテーション教育に関していえば、県内でも屈指の歴史と伝統があります。

そして、本学の位置する村上市は、豊かな自然と、長い歴史とともに受け継がれてきた 伝統と文化を兼ね備えた、情趣ある資源に満ち溢れています。

本学は村上市をはじめ、近隣の関川村や粟島浦村と、また産業界とは地元の岩船商工業会様と包括連携協定を締結しています。協定に基づいて、本学がこれまで積み上げてきた保健、医療をはじめとする様々な分野における活動実績を相互協力へと発展させ、地域に必要とされる大学であり続けるよう、さらなる努力を重ねています。

学生教育においても、地域の自然環境や地場産業、温かい人々とのふれあいなどを活用させていただきながら、地域の課題解決に取り組み、地域の活性化に向けた活動を進めています。

ところで、このたびの北京五輪において、村上市出身の平野歩夢選手が、日本スノーボード史上初の金メダルを獲得したことは、皆さんの記憶にも新しいことと思います。努力に努力を重ねて、命を懸けて戦った競技で、諦めずに頂点を勝ち取ったことは、大きな称賛に値し、村上市の誇りでもあります。皆さんも、今後、臨床実習などの場面で、様々な予想できない困難な壁に突き当たることがあるかもしれませんが、できる限りの努力を重ねて、是非とも乗り越えて、夢を実現してほしいと思います。

そして、夢を実現した先に、皆さんがこれから向かっていく社会は、少子高齢化や人口減少がいっそう進み、一方で、人工知能、ロボット、再生医療など新たな科学技術が進展し、私たちの生活環境や就業形態が、大きく変化していくことが予想されています。

人と人との物理的距離が必要な今でも、心の距離はむしろ縮めて、お互いに真摯に向き合うことが大切です。特に、皆さんが選んだ道は、人の心を読み取り共感し、優しく温かい心を通わすことが求められます。そして、ロボットや人工知能にはない、しなやかな心を持つ人でないと目的を達成することができない大切な分野です。

本学では、知識や技術だけではない、細やかな心遣いで患者さまやご家族をはじめ周囲の方々をしっかりと支えていけるような、人材を育成しています。本学が重視している教育の基本は、専門を深く極めることはもちろんですが、「人の心の杖であれ」の精神のもと、広い視野と優しい心遣いをもって、ものごとを総合的に判断し、背景にあるさまざまな課題までも見いだして解決していき、それぞれの分野で大きく貢献することのできる人材を育成することです。

このために、本学の教職員は一体となって、学生ひとりひとりに丁寧な教育を行い、ともに新しい時代を切り拓いていくべく、日々努力を重ねています。

皆さんにおかれましては、是非、同じ専攻や同じ学年に限らず、広く同級生や先輩たちと繋がって、自分の視野や可能性を広げる努力をしてください。

かけがえのない仲間は、大学での学びを支える大きな役目を果たしてくれるはずです。自分の夢や目標がわからなくなったとき、迷ったとき、仲間たちはきっと、素晴らしいアドバイスをくれ、導いてくれることでしょう。

また、学内には、皆さんの学修や生活の支援、心身の相談といった、さまざまな機能をもつ学習センターやキャリア支援センターのほか、保健室、クリニックなどを整備しています。もちろん、教職員一人一人がいつでも真摯に相談・対応いたします。どうぞ、学内の施設や人的資源を有効に活用してください。

皆さんにとって、コロナ禍の厳しい状況で始まった学生生活ですが、世界が見えない敵と闘っているこういう時だからこそ、一人ひとりがどのように行動したら良いのか、よく考えてから行動するようにしてください。また、人は一人では生きられない、支えあって生きている、そして人の心の杖であり続けることが大切だということを忘れずに、これからの人生を送っていただきたいと思います。

最後になりましたが、村上の自然豊かな環境の中で、皆さん一人ひとりが、さまざまなことに目を向け、実り多い大学生活を送られることを心から祈り、私からのお祝いと歓迎の言葉とさせていただきます。

ご入学誠におめでとうございます。

令和4年4月7日 新潟リハビリテーション大学長 山村千絵