新潟リハビリテーション大学
 
令和7年度卒業証書・学位記授与式(R8.3.6)

令和7年度卒業証書・学位記授与式(R8.3.6)

令和8年3月6日(金)、早春のやわらかな日差しと心地よい空気に包まれた「本学の国際教育研究棟(F棟)」において、令和6年度卒業証書・学位記授与式を挙行いたしました。医療学部卒業生・大学院リハビリテーション研究科修了生の皆さん、たいへんおめでとうございました。以下に、学長告辞を掲載いたします。

 

日だまりに草の芽が萌えたち、虫たちも動き始める季節となりました。

本日ここに、関係の皆様のご臨席のもと、令和7年度新潟リハビリテーション大学卒業式・学位記授与式を挙行できますことをたいへんうれしく思います。卒業生、修了生の皆様、卒業・修了おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。

そして、卒業生、修了生のご家族の皆様におかれましても、本日のご子息・ご息女の成長された姿に、感慨もひとしおのことと存じます。ご卒業をお慶び申し上げますとともに、これまで、本学に賜りましたご支援とご協力に、改めて深く感謝申し上げます。

思い起こせば、学部卒業生の皆さんの多くが入学された令和4年度は、新型コロナウィルス・パンデミックによる影響が、まだ残っている中で、8月3日の夜遅くから4日にかけて、村上市を中心とした県北地域に記録的な大雨が降り、4日深夜には大雨特別警報及び緊急安全確保が発令され、一部地域では大きな被害が発生した年でもありました。

学生さんの実家や下宿先などでも浸水や断水が発生し、交通網も寸断され、不自由な生活を強いられた者も少なからずいたということを記憶しています。しかし、住宅や道路、河川等の被害は大きかったものの、人的被害については、村上市全体を通じて、けが人1人で済んだことは、奇跡だったと語り継がれています。

また、大学についても、幸いなことに浸水や断水等もなく、数日間、授業を休講にしたものの、平常運営を継続できました。当時、1年生だった皆さんは、偶然にも、前日2日に、村上市の防災専門員の方から終日、防災講義や避難所の開設、運営等の訓練を受けたばかりであり、レスキューライスや保存水の提供も受けていて防災意識が高まっていた矢先の出来事でありました。知識を実践すべく、猛暑と感染症が襲う過酷な避難所等の環境下で、懸命に支援物資の受払や高齢者のお世話などのボランティア活動を行ってくれた学生さんたちがいました。

このエピソードのほかにも、皆さんは、地域や臨床現場でさまざまなことを学び、地域の方々や病院・施設の方々にも育てていただきながら、もちろん、本学での勉学や課外活動にもいそしみ、大きく成長して、今日の日を迎えられたことと思います。

令和6年度の文部科学省による全国学生調査の結果、本学医療学部は、医学・歯学・薬学・保健の分野で、集計基準に合致した、国公私立大学あわせて169学部の中で、「大学の学びによって、成長を実感している」という設問ほか3項目で、全国1位の高評価を獲得することができました。これからも、私たち教職員は、学生を成長させる教育を続け、皆さんの後輩たちの育成に努めていきます。私たち教職員にとっては、学生たちが成長していく姿を見ることが、この上ない喜びでもあります。学生の皆さまには心から、感謝申し上げます。

さて、今日の大学院修了生の中には、遠く海外から留学され、異なる文化や言語の壁を乗り越えて学業や研究に挑み、すばらしい成果を収められた方々がいらっしゃいます。

知らない異国の地に身を置き、当地の厳しくも美しい自然環境とともに歩んできた日々は、他では得難い経験だったのではないでしょうか。留学生の皆さんには、今後、母国に戻られた後も、本学で学んだ知識や研究手法、そして、友情を糧に、国際社会の懸け橋となって活躍されることを期待しています。

学部卒業生、大学院修了生ともに、皆さんが大学生活の中で経験されたことのひとつひとつが、これからの人生において決して無駄にはならないはずだと信じています。本学で学んだこと、経験したこと、身に付けたこと、成長したこと、楽しかったこと、うれしかったこと、苦しかったこと、つらかったことなど、改めて、自らの歩みを振り返ってみてください。

感染症のパンデミックをはじめ、令和4年の大雨や令和6年の能登半島地震等を経験した皆さんは、きっと、「これまで通り、これまで同様」というスタイルが、あらゆる面で通用しなくなったということも実感されていると思います。現代社会では、今置かれた環境の中で考えられる「より良い方策」を、その都度、考えて対応していかなければならなくなっています。

感染症や自然災害の脅威が降りかかってくる中で、授業や実習はもとより、行事や地域との交流、研究活動なども、計画通りに進めることができない場合もあったかもしれませんが、皆さんは、お互いに協力し合って、これを乗り越えてきました。

ときに、戸惑いや不安もあった大学生活の中でも、自分なりの目標を見つけ、一歩、一歩、大切に日々を歩む努力をされて、今日の日を迎えることができたことと思います。

図らずも、将来皆さんが困難な壁にぶつかるようなことがあっても乗り越えていく力になる多くのことを学ばれたに違いありません。私はそんな皆さんを誇りに思います。

予測困難な時代が到来し、答えのない問題に、どう取り組んでいくかという課題が、常に私たちに提起し続けられています。

ポストコロナ期における新たな学びの在り方についても検討が進められ、国の教育再生実行会議では、答えのない課題を解決するためには、一人一人の多様な幸せの実現はもちろん、社会全体の幸せでもあるウェルビーイング(Well-being)の理念の実現を目指すことが重要であると結論付けています。この幸せとは、経済的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさや健康も含まれ、このような幸せが実現される社会は、多様性と包摂性のある持続可能な社会でもあるとのことです。

そして、こうした社会を実現していくためには、一人一人が自分の身近なことから他者のことや社会の様々な問題に至るまで関心を寄せ、社会を構成する当事者として自ら主体的に考え、責任ある行動をとることが大切だと、提唱しています。

災害からの教訓としても、人と人との繋がりの大切さ、助け合いの重要性が実感できたことと思います。

これから、新たな道に進んでいかれる皆さんには、急激な社会の変革に呑み込まれることなく、広い視野で多角的に状況を分析し、専門的な見地から、課題を解決する能力を培っていってください。

ポストコロナの新しい社会が始まり、私たちは、授業の受講だけでなく、大学という場所において、仲間と語り合い、交流するといった営み自体が皆さんの成長過程にも大きく影響している重要性に改めて気づかされました。いずれにせよ、未知なる感染症や自然災害の脅威を経験してきた皆さんは、新しい価値観や考え方が養われたことと思います。それは必ず将来に生きていきます。

皆さんがこれから向かっていく社会は、少子高齢化や人口減少が、さらに急激に進んでいき、私たちの生活環境や就業形態も、これまで以上に大きく変化していきます。AIやロボットが多くの仕事を代替するようになるでしょう。しかし、そのような社会こそ、人と人とが真摯に向き合うことが大切になると思います。本学で学んだ皆さんは、人と接する際に、相手の心を読み取って共感し、優しく温かい心を通わすことができるはずです。

本学園では、創設以来「人の心の杖であれ」を理念に掲げ、知識や技術だけではない、細やかな心遣いで患者さまやご家族をはじめ、周囲の方々をしっかりと支えていけるような人材を育成してきました。これまで皆さんが培ってきた知識、技術、そして優しさや思いやりをさらに成長させ、どんな場面でも決して諦めないで挑戦を続けていってください。

皆さんには、人と人とが、支え合って生きていくことの大切さを胸に刻んで、これからの人生を歩んでいって欲しいと思います。そして、いつまでも不断に学び続け、未来を切り拓いていき、大きく飛躍して多方面で活躍されることを心より祈念し、私の告辞といたします。本日はまことにおめでとうございます。

令和8年3月6日    新潟リハビリテーション大学長 山村 千絵