新潟リハビリテーション大学
 
令和6年度入学式

令和6年度入学式

令和6年4月5日午前、暖かな春の日差しが降り注ぐ中、本学の国際教育研究棟において、令和6年度入学式(学部・大学院合同)を執り行いました(式典会場写真)。

学部新入生の皆さんは、すでに3日間のオリエンテーションを済ませ、グループに分かれての村上市内散策や学生会交流イベントも終わっていることもあり、新しい友達もでき始めているようでした。たくさんの笑顔も見られ、初々しい中にも規律正しく、大学新入生にふさわしい自主的な行動も多く見受けられました。今後のさらなる成長が楽しみです。大学院新入生の皆さんは、同日午後からオリエンテーションがあり、より高度で専門的な学びや研究の開始に胸を膨らませている様子でした。

以下に、入学式の学長式辞を掲載いたします。

やわらかな春風に心華やぐ季節となりました。新潟リハビリテーション大学医療学部並びに大学院リハビリテーション研究科に入学された皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。

本日、こうして新入生のご家族の皆様、そして、ご来賓の方々にもご列席いただいて、お祝いの喜びをお伝えできる入学式は5年振りとなり、大変嬉しく思います。

振り返ってみれば、世界中が感染症の惨禍に見舞われ、我が国でも多くの社会活動が制約されてきた中で、皆さんも高校生活や大学生活の大半を、新型コロナウイルスに振り回され、不安を抱えながら過ごされてきたことと思います。

そのような中で、皆さんは大学や大学院進学に向けて一生懸命に取り組まれ、本日、入学式を迎えることができました。その努力に対して敬意を表すると共に、暖かい愛情を持って皆さんを励まし、支えてこられた、ご家族の方々をはじめ、関係するすべての皆様に心よりお祝い申し上げます。

これから始まる新しい学生生活に対しては、期待や希望とともに不安もあると思いますが、皆さんがこれまでに培ってきた力に加え、これから本学で様々な力を身につけていただき、有意義な学生生活を送っていただきたいと思います。そのために、私たち教職員一同でお力添えいたします。

本学は大学院大学として大学院教育を開始してから今年度で18年目、大学学部としての教育を開始してから15年目を迎え、さらに歴史を遡り、前身の専門学校時代から数えると開学30年目となります。新潟県内でもリハビリテーション教育に関しては、屈指の歴史と伝統があり、着実に人材育成の実績を積み重ねてきています。

数々の歴史を刻んできた校舎に加え、一昨年3月に、今、皆さんがいる国際教育研究棟を竣工いたしました。この校舎の1階のスペースは、アクティブラーニングエリアとアクティブプラクティスエリアになります。多様な学修スタイルに応じて、時代に即した学修や研究ができる空間となるべく供用しています。

アクティブラーニングとは、仲間と話し合い、教員や他者の意見を参考にしながら、自ら能動的に学修し課題を解決していく学びです。自分が学びたいと思うことを、自ら学んでいくことこそが、大学での学びの姿勢となります。こういった学びを通じて、教養や人間性を高めていってください。

本学では、そのほか、数理データサイエンスの分野も重視して教育を行っています。アクティブラーニングなどによって、データを収集したのち、それらを数理的手法によって解析し、解決策を見出していく一連の過程をデータサイエンスと言います。本学では学部1年生全員に数理データサイエンス科目を提供しています。一昨年度には、文部科学省から、数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)の認定も受けました。これからの時代、どの分野に進んだとしても、データサイエンスを活用できる人材が強く求められていきますので、皆さんも、きっと、将来、本学で学んだことが活かされると思います。

大学は、一人ひとりのさまざまな可能性が多様につながり、育っていく場でもあります。感染禍を経て、情報通信技術も急激に進歩しました。ウェブ授業の展開によって、キャンパスに来なくとも学べる体制が確立されました。本学においても悪天候などで通学に困難をきたすような時をはじめ、効果的な場面で引き続きウェブ授業を活用していきます。

一方で、リアルなキャンパスの価値も改めて実感しています。キャンパスは、出会いと対話が生まれる場です。多様な能力と可能性が繋がれ、伸びていく場となるよう、皆さんとともに考え、工夫していきたいと思います。リアルな場面においては、自らの行動が他者や社会にどのような影響を与えるかを常に考え、思いやりを忘れずに行動することが何より大切です。皆さんの本学における学びが、他者の心の杖となって寄り添う精神を備え、多様な分野で社会を導くリーダーの資質を育むものとなることを期待しています。

さて、感染禍を経て、私たちは、生命や生活、価値観や行動など、広範かつ多面的な影響を受けました。まさに予測困難な時代となり、答えのない問題にどう取り組んでいくかという課題が私たちに提起され続けています。

課題解決のために、一人ひとりの多様な幸せの実現はもちろん、社会全体の幸せの実現を目指すことも大切です。そのためには、一人ひとりが自分の身近なことから他者のことや社会の様々な問題に至るまで関心を寄せ、社会を構成する当事者として、自ら主体的に考え、責任ある行動をとることができるようになることが大切です。

今年の元日には能登半島地震が発生しました。自然災害が多発していますが、災害からの教訓としても、人と人との繋がりの大切さ、助け合いの重要性を、皆さんも実感されたことと思います。そして、それらの経験も含め、安全・安心な社会の実現への貢献が、大学の大きな使命の一つとしても浮かび上がってきています。

本学でも防災・減災への取り組みを進めています。学部1年生を対象に村上市の防災専門員による防災教育を行っています。災害時には、学生たちが、被災地域や避難所等で、自主的な支援活動を行ってくれ、多方面から感謝のお言葉をいただいています。

皆さんが今いるこの場所は、この4月から村上市の指定緊急避難場所となりました。これからは、大学で近隣からの避難者も受け入れることになり、飲料の自販機も災害対応のものに切り替えました。

本学は村上市をはじめ、近隣の関川村や粟島浦村と、また産業界とは地元の岩船商工業会様と包括連携協定を締結しています。協定に基づいて、本学がこれまで積み上げてきた保健、医療をはじめとする様々な分野における活動実績を相互協力へと発展させ、地域に必要とされる大学であり続けるよう、努力を重ねています。

学生教育においても、地域の自然環境や地場産業、温かい人々とのふれあいなどを活用させていただきながら、地域の活性化に向けた活動を進めています。

ところで、皆さんがこれから向かっていく社会は、少子高齢化や人口減少がいっそう進み、一方で、人工知能、ロボット、再生医療など新たな科学技術が進展し、私たちの生活環境や就業形態が、大きく変化していくことが予想されています。

そのような中、皆さんが選んだ道は、人の心を読み取り共感し、優しく温かい心を通わすことが求められます。そして、ロボットや人工知能にはない、しなやかな心を持つ人でないと目的を達成することができない大切な分野です。

本学では、知識や技術だけではない、細やかな心遣いで、患者さまやご家族をはじめ周囲の方々をしっかりと支えていけるような、人材を育成しています。本学が重視している教育の基本は、専門を深く極めることはもちろんですが、「人の心の杖であれ」の精神のもと、広い視野と優しい心遣いをもって、ものごとを総合的に判断し、背景にあるさまざまな課題までも見いだして解決していき、それぞれの分野で大きく貢献することのできる人材を育成することです。このために、本学の教職員は一体となって、学生一人ひとりに丁寧な教育を行い、ともに新しい時代を切り拓いていくべく、日々努力を重ねています。

皆さんにおかれましては、是非、同じ専攻や同じ学年に限らず、広く同級生や先輩たちと繋がって、自分の視野や可能性を広げる努力をしてください。かけがえのない仲間は、大学での学びを支える大きな役目を果たしてくれるはずです。自分の夢や目標がわからなくなったとき、迷ったとき、仲間たちはきっと、素晴らしいアドバイスをくれ、導いてくれることでしょう。

また、学内には、皆さんの学修や生活の支援、心身の相談といった、さまざまな機能をもつ学習センターやキャリア支援センターのほか、保健室、クリニックなどを整備しています。もちろん、教職員一人一人がいつでも真摯に相談・対応いたします。どうぞ、学内の施設や人的資源を有効に活用してください。

最後になりましたが、村上の自然豊かな環境の中で、皆さんが、さまざまなことに目を向け、実り多い大学生活を送られることを心から祈り、私からのお祝いと歓迎の言葉とさせていただきます。ご入学誠におめでとうございます。

令和6年4月5日 新潟リハビリテーション大学長 山村千絵