2020年2月5日(木)学術委員会主催による特別講演会が行われました。演題は「日本のこころ、文化について」、講師は茶道家であり能楽師であり伝統文化普及継承団体「伝統の橋掛かり」主宰の関直美先生です。
関先生は学生としてニューヨークに滞在中、日本人としてのアイデンティティーを新たにし、茶道、能楽など日本文化の奥深さに魅了され、その関心を広げていかれたそうです。帰国後ご実家の茶家を継ぎ、裏千家の茶道の継承に尽力されました。その傍ら日本文化の究極である能楽の道を目指されます。
能楽という伝統芸能の世界において、能楽の家の出身ではない、30歳を過ぎた女性の入門には様々な困難がおありになったそうです。そして34歳の時、東京藝術大学音楽学部邦楽科能楽専攻に現役合格され、学部、大学院へと進まれ、その在学中に、第19代宗家宝生英照から宝生流能楽師として楽屋見習いを許されたそうです。大学院修了時に、博士論文「鬼を通してみる女流の能―性別のハードルを越えて―」を発表し、能楽協会に席を置く能楽師の中で初めて音楽博士号を取得されました。
能楽師を目指したとき、人々は一様に反対されたそうです。伝統ある能楽の家に生まれ3歳から舞台で舞う後ろ盾のある能楽師たちと30歳を過ぎてから同じ舞台を目指す先生の困難は図りしれないと周りは心配しました。しかし、先生は伝統ある能楽の家に生まれた人にはない自由が自分にはあるとおっしゃいました。そのポジティブな発想の転換こそが成功へと導いたのだと感じました。『念ずれば花開く、花が開かないのは念がたりないからではないのか』「茶道・華道・書道と同じようにリハビリテーションも道を悟り極めようとする努力が大切であること。そして人の良いところを見つけ自分の居場所を少しづつ少しづつ見つけることこそが人生を豊かに生きることにつながるのではないか」という先生のお言葉が心に残りました。
暖冬だ!暖冬だ!と言われていた今年の冬ですが今日はこの冬一番の寒さ、数年に一度といわれる寒気が襲来しました。そんな中、素敵なお着物でおいでいただいたので先生にお願いして、ブログ用にお写真をいただきました。
関直美先生、本日は遠路、お寒い中おいでいただき貴重な講演をありがとうございました。
なお、関先生には来年度特任教授として本学にてご教授いただく予定です。
大滝(よ)