研究成果を地域に還元します!

本学は新しい大学であり、研究についても新しく始まったものばかりですが、研究成果の社会への還元および地域貢献をめざして、教員は研究者としても日々努力をしています。

今回は、「ソフトスチーム加工を利用した咀嚼・嚥下困難者向け食品の開発」研究について、簡単に紹介します。

この研究は私、山村が、科学研究費補助金研究(課題番号:23500940)として、2011~2013年度までは野菜を対象に実施しました。そして、今年度、さらなる補助金(課題番号:26350107)を獲得することができ、2014~2016年度にかけて、肉を対象に研究を進めていく予定としています。

ソフトスチーム加工は、常圧で40~95℃の湿り飽和空気を利用する、新しい食品加熱技術です。我が国では、この加工を行うことのできる大型の機器の稼働台数は、まだわずかですが、そのうちの一台が、約5年前に本学近郊の高根地区に導入されました。これを機に、高根フロンティアクラブの鈴木信之氏の協力を得ながら研究を開始することになったのです。

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<高根地区に導入されたソフトスチーム機>

ソフトスチーム加工を行った食材の特徴は、第一に「おいしさ」が優れていることです。また、薬品類やつなぎ等が「無添加」でありながら、食べやすく飲み込みやすい物性を付与することができます。さらに調理の自由度の高い「素材」としての提供が可能です。これらの特性は、通常の市販介護食にはないものとして、注目に値します。

野菜の研究の締めくくりとして、今年の2~3月に、本学近郊の施設入所高齢者に対し、開発したソフトスチーム加工ニンジンを昼食時に提供し、食べていただきました。食後に実施したアンケートでは、おおむね良好な評価を得ることができました。

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<介護老人保健施設(胎内市)での食事の様子>

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<特別養護老人ホーム(胎内市)での食事の様子>

以上、野菜で行った2011~2013年度の研究成果は報告書にまとめ、去る4月25日に、研究協力者の藤間紀明助教とともに、村上市役所へ報告に行ってきました。その場では、今後の展開として流通時の課題、販路の開拓等について話し合いを行いました。

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<村上市役所での報告・話し合いの様子>

(中央:副市長 鈴木源左衛門氏、右:農林水産課課長 瀬賀功氏、左:私)

食べやすいソフトスチーム野菜の流通に向けて、そして新たに食べやすい肉の調製に向けて、地域の皆様に研究成果が還元できるよう、これからも頑張っていきます。   (大学院研究科長・教授・研究代表者 山村千絵)