大澤先生コラム【8月】

 

「大局的見地」 大澤源吾 (July 15,2019)

 

参議員の選挙戦が始まった。

既定路線と思っていた消費税の「値上げ」が争点の1つである。

当初は「値上げ」が経済成長の足枷になりそうだから時期尚早という反対論であったが、

政府要人の年金関係発言に端を発し、「年金制度の見直しが先だ」

という意見すら叫ばれるようになって、

消費者にとっては心地よく響く「増税反対」の大合唱に摩り替ってきた。

 

 

20世紀前半以降に、医療(健康)、雇用(失業)、労災、年金の各保険を柱として

この国の社会保険制度が構築され、途中、平均寿命の延長、少子化に進展、

それに世界的な経済成長の鈍化という思わぬ伏兵に遭遇しつつも、

工夫を重ねて後期高齢者医療制度の発足につながったと理解している。

 

身近な医療費だけに目を向けても、

「がんの薬物療法」をはじめ医学の進歩による医療費増大は避けられまい。

相互扶助の必要性は更に増す筈であるから個人の負担増は避けられないと思う。

 

医療職を目指す若い諸君と共に、心地良さだけの空虚な論争の多い中から、これからの実現可能な、

進むべき方向をしっかりと示す誠実な候補者を選んで託したいものである。

 

翻って、国試合格のみを目指し、過去問の答え合わせに終始し、

一夜漬け的な学生教育にどっぷり漬かってきた教師としての力が

身をふり返し忸怩(じくじ)たるものがある。

 

旧態を打破し、新しいリハビリテーション学に改革できるような学生に未来を託したいものである。