頭と体がリンクすることで、より良い支援につながる
医療系専門職における学修は、頭で理解していても体で表現できなければ、より良い支援の提供には結びつきません。それでは、医療系専門職を養成する我々教育者は、どのように医療者教育を実践すれば良いのでしょうか。
文部科学省には「教育関係共同利用拠点」という制度があり、医療者教育においても「医学教育共同利用拠点」が設置されております。そこでは、医療者教育学を体系的に学ぶコースが設けられ、基礎を学ぶコースや自身の教育実践を振り返るコースがあります。全てのコースにおける単位を修得した者には認定制度(フェロー)が設けられており、当時、約9万人いる作業療法士の中で、私は第1号の認定を受けました。
現在、医療者教育学で学んだ基本を活かし、本学では主に実技系講義を担当しております。頭の中で理解できたことが、そのまま体で表現することにつながっていけるよう、学生・教員間のディスカッションによる理解の促進、学生同士の実技練習や評価、振り返りを多く取り入れております。
あなたの「得意なこと、やりたいこと」が作業療法につながるかもしれません
作業療法の「作業」とは、対象となる人々にとって「目的や価値を持つ生活行為」を指しております。私は身体障がい領域の病院で勤めておりました。病前のように調理活動を必要とする方、自動車運転ができないと生活が成り立たない方、自身で釣った魚を捌いて食べることが趣味だった方、これまでに出会った対象者は皆、目的や価値観が多様でした。
そのような対象者に対して、あなたの得意なことややりたいことが合致すれば、目標達成に向けてより近づく支援(作業療法)が提供できるかもしれません。作業療法士になるためには相当な勉強も必要としますが、それと同等に得意なことを身に付け、やりたいことも見つけておくと良いと思います。
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担当講義PICKUP
作業療法学内実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
作業療法を対象とする方に対し、目的や価値に合致した最適な支援を提供するためには、そのひとを理解すること、すなわち「評価(Assessment)」がとても重要になります。この講義では、対象者の役割や目標を理解し、適切な評価が実践できるよう、面接技法をはじめ、各種、必要に応じた検査の実施が安全かつ正確にできるよう学修します。そのため、学生・教員間で多くコミュニケーションを取りながら理解の促進を図り、実技練習では即時的な振り返りを取り入れております。実技練習が主となる講義ですが、頭と体を多く使う科目となっております。
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