大澤先生コラム【1月】



「どろくさい」鍛錬     大澤 源吾(Jan,20,2020)

 

 

この正月、晝のテレビ放映での瞬間のことである。

恒例の大学対抗の箱根駅伝マラソンの復路で、青山学院大の走者が2位以下をかなり引き離し、

孤独に先頭を力走していた。

これに追いつこうと優勝を狙う有名強豪校の選手らが集団となって激しい順位争いを演じていた。

アナウンサーと解説者の対話を聴いていると、往路の事態も大凡(おおよそ)摑まえることができた。

 

はじめは他の大学がトップであったのが、途中から変わって、

そのまま復路を青山学院大がリードしたものらしい。
登り坂、下り坂、平坦な路とそれぞれの区間に特徴があり、

各校の監督はチームの学生選手の体力適正を熟知して、

地形の難易度の特徴をこなすことができる、ねばり強い心と体力の持主を選んで割り振りするのだという。

勿論、選手学生の当日の調子にも左右されるであろうし、

大会の雰囲気に影響されずに実力を発揮できる度胸の持主であるかも見抜かねばなるまい。

 

個人競技種目の選手を養成する場合とは異なり、複数の競技者をまとめて団体を形成した上で、

それぞれの区間に合致した能力を鍛えさせて、チームの一員としてねばり強くそれぞれの能力を

発揮させるという難しい指導が監督に問われることになるようだ。

 

青山学院大の監督はこうした采配をみごとに振って、

チームの優勝をもたらしたものだと解説者が訓(おし)えていた。

 

解説のなかで「どろくさい」という単語がはさまれていて妙に頭にこびりついて残っている。

基礎的な適確な判断力に裏打ちされた、あるいは錯綜するfake newsに惑わされないで、

己の力量を発揮しようと努力している選手の姿を、

「どろくさい」「やぼったい」くらいの意味で表現していたものと、勝手に解釈している。

 

そして、リハビリ教育においても、短期的、スマホ的な知識評価だけでなく、

地味ながらも「どろ臭さ」を重視した教育や評価方法も採用する必要があるのではあるまいか。

リハビリの改革、進展を未来につなげるために。